2008年11月17日

WB・リアル

 これは四年前に僕が初めて書いた小説です。
 本当に文章の書き方も、魅せ方も全く知らない(今もまだまだですが……)時でした。ですが、これが僕の始まりなんだなぁと昔の小説フォルダを見ながら感心していたのでアップしようと考えた所存です。
 ではでは。

 因みに、最後の編集後記も四年前のものです。

TVドラマのウォーターボーイズを見たあと、僕は徐に携帯を手に握り締め、自分の部屋に上がった。
アドレス帳から‘杉‘を選ぶと、電話を掛けた。
トゥルルルル…ガチャ。
そうして、相手が電話に出るやいなや、
「ウォーターボーイズ!!!!!!!!」と思い切り受話器に叫んだ。
「でも、進藤さんシンクロなんて無理なんですよぉ~」と杉はドラマの真似をした。
「あはは、似てる似てる。今日もウォーターボーイズ面白かったねぇ~」と僕が今日のドラマの感想を言って、取り留めの無い話をして、電話を切る。それが毎週火曜の日課だった。
次の日学校に行くと、もうホームルームが始まっていた。
僕は先生に寝坊しましたと告げ、席に着いた。
そう、いつもこんな感じだった。
そして、学校が終わり、放課後になると、使われてない教室で勉強会を開いていた。
そこで、雑巾とガムテープで作ったボールで蹴鞠やら、サッカーやらをしていた。
まあ、勉強はしていない。受験生なのに…
そういう風に遊んでいるとき、僕が喋りだした。
「ず~とこんな風に遊んでるのもいいけど、何か思い出にのこることしたくね?
シンクロ・・・とか…」
この言葉に、友人の勇は
「いいねぇ~、バレーレッグ、フラミンゴ!!とかだろ?やるか!?」
と楽しげに乗ってきた。
そうすると、杉は、
「いや、冷静に考えて無理やろ。練習とかかなり時間使うやろ?それに、誰が見に来るの?プールは?練習場所は?ドラマとは違うよ」
と冷静に答えた。
それに対し、勇は、
「いや、冗談やん。大体、出来るなんて思ってねーし。ねぇ、イキッチョ?」
と僕に振ってきた。
「う…うん。」と曖昧にこたえた。
そのとき、教室に先生が入ってきた。
「お~い、もう七時半だぞ、お前ら帰れ。まあ、残って勉強するのは感心だが、遊びも対外にしとけよ。」
と笑いながらいった。
そうして、皆で帰った。
帰る頃にはもう回りは真っ暗になっていた。
「じゃね~」と皆が帰るとき、友人の勇、佐々、そして僕がまだ喋っていた。
そして、僕がまた、言ってみた。
「やっぱり、シンクロはむりかなぁ?」皆に、「シンクロ」が無理か聞いてみた。
すると、佐々は「いや、面白いとは思うけど、俺は行きたい大学があるし、勉強しようや」
ともっともないけんを言った。
勇は「俺もそう思う。練習したら勉強できんし。」
みな、将来のことを考えている。そりゃあ、大学も行きたい、でも、何か高校で想い出を作りたいんだよ。と思ったが言えなかった。
多分、言ったところで何も変わらないし、むしろ、引かれるから。
そうして、僕は
「だよね、出来るわけねーよ。いや、冗談だよ。」とおどけて見せた。
もうすぐ、夏休みだった。
夏休みは、塾や勉強に追われ、怒涛のように過ぎていった。
そして、夏休みが終わり、顔を合わせた僕らは、ほとんど日焼けしていなかった。
前のように、また、使われていない教室で遊んでいると、何だか、無性に水に入りたくなった。
水泳部の友人が教室に居たので、プールを使わせてもらう事が出来た。
僕は、「今から、泳ぎに行くぞ!!行こう。」
と残っていた、杉、佐々、勇に言うと、
杉と勇は「いや、おかしいだろ。だるい。つーか、まじ?」と言ってきたので、佐々を連れてプールに向かった、放課後、夜七時のプールは静まり返っていて、水泳部の友人の泳ぐ音と、秋の虫が鳴く音だけが鳴り響いている。
そこに、僕と佐々は体育着のズボンを水着代わりにプールに飛び込んだ。
僕と佐々は水に浮きながら、
「え~と、この姿勢から足を上げて、フラミンゴ姿勢…」僕は足を上げきらないまま沈んでしまった。
「本当に難しいね。このバレーレッグ自体ムズイよ。」と佐々も相槌をうった。
そんな、男二人が水面から足を上げている光景を、水泳部はポカンと口を開けてみていた。
次の日、僕と佐々は杉と勇に昨日の練習の話をすると、
勇も杉も「マジで!?面白そう!!もしかして俺ら、今から練習したらシンクロ公演できるんじゃねーの!?」と言い出した。
そこに、教室に入ってきた、黒と原もその話を聞いてテンションがあがって来た。
僕は、「よっしゃ、川に練習に行こう!!」と言った。
すると、黒は「俺、塾あるから。」といって帰った。
他の皆は「もう遅いし、今日は無理だろ。別の日にしよう。」
と言い。
僕も、「そうだね、もう暗いもんね。帰りますか?」と言い。帰った。
文化祭まで一週間を切っていた。
その次の日、放課後にまた集まり、話していた。
僕は、皆に
「もう、文化祭まで一週間無いよ。シンクロできないよ!!」
と言うと、皆「はぁ?」と言う顔をしている。
どうやら、皆、シンクロ公演なんてする気は無く。
冗談だったようだ。
僕は黙ってしまった。いや、むしろ何も喋れなかった。
その日は、ただただ、黙々と勉強をした。多分、今から、シンクロを猛練習したとしても、良いモノは決して出来ないだろう。
そして、皆、そのやる気も無い。みなそう思っていた。
こっちの高校では、高校三年になると、受験のため文化祭の出し物は合唱だけとなる。
「やっぱり、こっちのクラスが一番取るよ!!」
「ええ~!?何言ってんの?四組に決まってるじゃない!!」
女の子達が、自分のクラスの歌声の自慢話の横で、僕と佐々はしんみりとしていた。
僕は、佐々に向かって、聞いてみた。
「シンクロって、何人居るのかなぁ?やっぱり、二人じゃきついよな。…無理なのかな…
だって、もう一週間無いし。皆、やる気ないし。」
僕の言った事は当然だった。
そう、出来るはずが無い。出来たとしても、一曲程度。恥をかくだけだろう。
そういうと、佐々は、
「うん、正直無理やね。」
佐々も何だかテンションが低い。
ぼくは、もうその話題に触れたくなくなってきた。どうしたって出来るはずが無いのに、出きる出来ないの言ってるのがバカバカしい、シンクロをしたい気持ちばかりが先に出て、泣きそうになる。自分の今までの不甲斐なさややるせなさがこみ上げてくる。
僕は、話題を変えるために
「そ…そういえば、佐々は偏差値とかどう?上がった?」
そうきくと、佐々は
「うん、今は55だけど、もっともっとあげる。今は一日6時間位してるんだ。
俺は、行きたいところがあるからね。頑張らないと!!」
そういうと、佐々は、拳を握って頑張ると言うようなジェスチャーをした。
僕は愕然とした。僕は今までシンクロが出来るやらできんやら考えてるだけで、何もしなくて、…でも佐々は自分なりに頑張ってて・・・何してるんだろう…俺。

その日の放課後…
また、皆で勉強会をした。
でも、僕だけ、違う部屋で勉強した。
(負けてられない)
その、思いだけが僕を勉強させる原動力だった。
その日の帰りがけ、プールの隣を通った。
そして、気がつくと、自転車を降りていた。僕は、服をぬぎ、パンツ一枚でプールに飛び込んだ。冷たい水の感覚が足の先までつたわる。
すると、プールの入り口を開ける音がした。
ハッとして、水にもぐった。
(先生かもしれない…)
すると、そいつも水に飛び込んできた。
(えっ!?)
水からあがり、そいつを見ると佐々だった。
「イキッチョ、やっぱりシンクロしてーよ」
その、佐々の言葉を聴いた瞬間心臓から、足から、手から、体全体から、何か熱いものが込み上げてきた。
「よし、一丁やるか!!」
僕は、目いっぱい叫んだ。
何だか、涙が出てきた。佐々にはプールの水と思われたようだが、とめどなく流れた。
そう、シンクロは人に見てもらわなくてもやってやるさ!!

文化祭まで後、四日。
この日は、朝の三時まで勉強していて、充実感があった。朝に学校に着きいつも通りの一日だった。
昼休みになり、クラスがざわざわと騒がしくなってきた。
クラスでは、やけに豆な奴が黒板に(文化祭まで後…四日)と書いている。
何故か毎日書き直しているようだ。
黒板にそんな風に書いている奴が急に叫んだ。
「お~い、みんなぁ!!あと四日だ!!頑張ろうぜー!!」
その雄たけびに、クラスの皆はおー!!とか、よっしゃー!!とか言っている。
皆、テンションがハイになっている。
俺もその中の一人だ。正直、合唱は皆で力を合わせて頑張っていたので、優勝すると思っているし、シンクロもしたいけど、皆で何かに向かって練習するのは楽しい。
そんな中で、先生が入ってきた。
「おいおい、お前ら文化祭もいいけどな、受験と言う名のゴールがあるだろ?
こんなに大騒ぎして…。勉強をしろ、勉強を!!」
相変わらずいやなことを言う先生だ。まあ、当然なんだけれども…。
そうこうしている内にチャイムが鳴り、昼休みが終わった。
授業が始まり、先生の退屈な話によって、眠気が襲ってきた。
すると、後ろの席の黒が、ノートの切れ端に人が逆立ちしている絵を書いて渡してきた。
      



なんだろうと思って、その絵の下を見ると、”バレーレッグ”と書いてある。
そのまた下を見ると、”シンクロを文化祭でしないで、どっかちがうとこでしよう。”と書いてある。
俺の考えと全く同じ事を黒も考えていたようだ。
何だか、どんどん楽しくなってきた。そうすると、何だか授業の集中力も高まってくる。
いつの間にか、授業は終わっていた。
放課後、いつものようにあのクラスに集まった。
そして、皆が集まったので、皆にシンクロしようと言おうと思ったが何だか言えなかった。
いや、言わなかったんだろう。言った所で、すぐにシンクロするかもしれないという希望が消えてしまいそうな気がしたからだ。
そしていつものように、勉強して家路に帰った。
帰る途中、いつもより凄くウキウキしていた。
今思うと、相当適当だ。いつシンクロするかも、そして、誰とするかも決まってないし第一、何処でするかも考えてなかったのだ。
でも、そのときは、自分の頭の中ではシンクロをしていた。
その帰りの夜空はいつもより何倍も綺麗だった。文化祭まで後三日。このくらいの時期になると学校のほうもかなり慌しくなってくる。
生徒の方もだが、何より先生の方が気合が入っている。そんな中でも三年生は合唱だけなので大して忙しくない。
いつもの授業が終わり、合唱の練習も終わろうとしていた。
そして、合唱委員という合唱の曲を決めたりする人が嬉しそうに言った。
「あと、文化祭まで三日だけど皆頑張ろうね!!」
すると皆オオー!!と叫んだ。
教室の黒板にあと~日と書く奴といい、合唱委員といい、どうしてそこまではしゃぐのか…。
まあ、当の俺もウッシャー!!とかいってはしゃいでいたのだけど。
そんな風にしていつもの合唱の練習が終わり。
また、いつもの教室に集まった。みんなも合唱大会の話で盛り上がっている。
俺と勇と杉は三人で丸めた雑巾でキャッチボールをしながら話していた。
俺が最初にボールを投げながら話しかけた。
「勇は二組だけど何…歌うの?」何のところで勢い良く勇にボールを投げた。
勇はそのボールをキャッチしながら答えた。
「さくら…だよ。結構みんな巧いからね。多分優勝やなー」と言った後杉にボールを投げた。
すると杉はボールを取るやいなや顔は勇に向けたままでボールを俺のほうに投げてきた。
文化祭二日前、ほとんどのクラスの出し物の準備は大忙しであった。二年生、一年生は慌しく働いていて、時々、笑い声に混じって「まにあわねぇだろ!?」とか言う怒声も聞こえてくる。
そんな中、結構暇な三年生俺、佐々、黒、原、杉の五人衆はぶらぶらと一、二年の準備を見て回っていた、お化け屋敷をするところはクラスの机を積み上げたりして通路を作ったり、お化けの衣装を作ったりしている。他のクラスもなにやら面白そうな事をしている、俺らもこんな事やったよな。などと五人で話していると、クラスの出し物を作っているスタッフ達が、
「すいません。関係者以外立ち入り禁止なんですよ」
などと、言って、俺たちは追い出されてしまった。
なんだかその一生懸命さと、関係者以外立ち入り禁止と言うような事を言う初々しさが微妙に恥ずかしくなって俺たちはその場を後にした。
三年のクラスに戻ると、物凄いヤル気の女の子が、俺たちに向かって、
「関係者なんだからもっと練習しようよ!!」
と言ってきた。
…あんまし、一二年も三年も言ってる事変わんないな。と思いながら合唱の練習を始めた。
合唱の練習も佳境となり、各パートの練習ではなく、あわせる合同練習になってきている。
なかなかの完成度で、先生方も巧いと太鼓判の出来だった。
この時、シンクロもこんな風に出来たらいいのにと思ったのは俺だけだったのだろうか?
  そんな風にしている内に、放課後になっていた。
俺と、原、黒、佐々、杉のいつもの五人はまたいつもの教室に集まっていた。
佐々も原も行きたい大学があるらしく、かなり頑張っている。
いきなり、黒が言いにくそうに言った。
「俺、塾にいくよ…」
みんなは、それに対し軽くうなづき黒が教室から出て行った。
前は、原が居なくて遊び放題だったが、原が居ると締まるのか、‘遊ぼうぜ‘なんて確実に言えない雰囲気になっている。
そんな中、その雰囲気に耐えれなくなった俺が
「…遊ぼうか」
と言ってしまった。それに反応した、杉は、ヨッシャーと言って、前の雑巾で作ったボールを投げてきた。またそれで、キャッチボールが始まった。
そんな中、原と佐々もキャッチボールに参加してきて四人でのキャッチボールになった。
そんな、みんなとふざけたり、バカな話が本当に面白かった。
でも、俺は、それ以上にシンクロがしたかった。
そこで、また俺は飽きもせず、言った。
「やっぱ、俺シンクロしたいな。」
みんなからなんと言われようと良いや。と言う気持ちでいきなり言ってみた。
たぶん、そこに居た四人が親友と呼べる友達だったからだと思う。
そうすると、みんなは同じ事を考えていたのか、それとも、ただ単に引いたのか。
一瞬、止まった。
すると、杉が微妙に嬉しそうに言った。
「イキッチョ、まあ、楽しみにしときなよ。文化祭じゃなくて、体育祭を」
俺は、良く分からなかった。
この学校では、学園祭は三日間あり、文化の部、文化の部、体育の部という風に分かれている。
そこで、俺は
「分かった、楽しみにしておくよ。」
と言い、キャッチボールを続けた。
その日は、杉のいった事など全く頭になく、ただ、まっすぐ家に帰った。
その日は、もう文化祭まで後二日と言うのもあり、口ではシンクロシンクロ言っているが、出来るとは全く思っていなかった。
文化祭まで後2日もう、ほとんどのクラスは最後の出し物の仕上げ的なことをしている。正直あんまり頭のよくない高校だからだろうか出し物はかなり派手な出来となっている。
一方、三年生の合唱もハモリの部分が出来てきて中々良い感じになってきている。もう、パートリーダーと呼ばれるそのパートごとのリーダー達は回りに
「後は、体調管理だけだ。みんな風邪引くなよ」
などと呼びかけている
そのようにしてしていると先生が入ってきて、
「よし今日の授業は英語ではなく音楽だ!!」
などと言ってみんなに合唱の練習をさせてくれたりした。
そのな感じだったので一日の授業は比較的早く済んだ。先生達があんまり授業中に歌わせるんで放課後の合唱練習は休みとなった。
そこで、またいつものように使われていない教室に集まった。
杉、原、黒、そして僕。いつもとはほんのちょっぴり違うメンバーで勉強していた。
いつもとはメンバーが違うからと言って勉強に集中できるわけではない。
またいつものように駄弁りタイムとなった。
始めは進路とか将来の展望について話していたが、だんだん飽きてきてゲームや趣味の話になってきた。
そのうち、TVのウォーターボイズの話になり盛り上がっていた。
多分、みんなが話していると出来るような気になってくるのだと思おう。
僕は
「みんな、暗くなって先生達が帰ったらプール行こう」
そういうと、みんなが
「いいねぇ、へーいへいへいへーいへーい」
と学園天国を歌いだしテンションは最高潮になった。
そして、また僕が
「よし、それまで勉強だ!!」
勉強を始めて時間が経つに連れてみんなが飽き始めた。それでもみんな頑張り勉強していると、他のクラスの勇と佐々が来た。
その二人も勉強しプールに忍び込める時間になった。
「プール行くぞー!!」と僕が叫ぶと
「俺…今日…塾」と黒が申し訳なさそうに言った。
「俺も今日は勉強したいから…」と杉と原。
そうしてみんながどんどん帰ろうとしている。
「おい!!待てって、何だよ。みんなプール行くって言ったじゃん。行こうや。」
そう僕が止めてもみんなちょっと謝って帰っていった。
佐々と僕だけが残ってしまった。
帰り道、佐々とずっと話していた。
「何で、プールに行くって言って癖に行かないんだよ。フザケンナ!!」
僕がそういうと佐々は
「しょうがないよ。みんな、進路とかいろいろあるから。」
「じゃあ、最初から言わなきゃいいじゃん。プールに行くとかさ」
「じゃあ、イキッチョは最初にプール行こうやっていったときにみんなが”行かん!!”って言ったら怒ってなかったや?多分怒ってたやろ。」
「…そうやけど、みんな乗りが悪すぎるよ」
「まあ、みんなの気持ちも分かってやれって。じゃあ!!」
佐々は手を振って帰ってしまった。僕も手を振り
学校帰りの坂道を猛スピードで駆け下りた。
文化祭一日前、もう、一・二年生は明日(文化祭)のための点検をしている。
もう、ほとんどどこのクラスも出来上がっている。
三年生の合唱もほぼ出来上がり、「明日のために今日は早く寝ろよ~、勉強は今日はしなくていいぞ」と先生もこんなかとを言っている。
そのようなので、僕も原も黒もほとんどみんなすぐに帰った。
その帰り、正直僕は合唱の練習も人並みに頑張っていたので明日の発表会についての緊張と、わくわくするような気持ちであふれていた。シンクロの事もそのときはどうでも良かった。
その日の朝は、合唱大会の事で頭がいっぱいだった。
いつもよりほんの少し早めに起きて、友達に
「今日は文化祭、頑張ろうな!!」
と言うメールを何人かに送ったり、妙にテンションが高かった。
学校に行きもう一度みんなであわせて、大会に臨んだ。
アナウンスで
「プログラム最後となりました。三年生による合唱です。三年生は今年で卒業します。そして、新しい門出をむかえます。そんな三年生が一・二年生へと送る歌です。」
と言うのが流れた。
なんかどきどきしてきた。
とうとう、自分のクラスの番になりステージに上がった。
なんだか、気を抜いたら一気に声が裏がえりそうだ。
結局何とか失敗も無いまま終わった。その後結果発表で自分のクラスが一位になった。
でもあんまし嬉しくない。そんな感じで文化祭は終わった。
ここの高校は文化祭の次の日に体育祭がある。…次は体育祭か。
なんだか結構頑張った合唱大会。それで良い成績を残せた。
でも、何かが違う。青春じゃない。そんな気がした。
次の日、体育祭シンクロが出来ない有耶無耶をそれで晴らすかのように思いっきり弾けた。
そんな風に滅茶苦茶に盛り上がっていると、自分の出場する徒競走が始まりそうだった。
不思議なもので、いやいやながらに体育祭を送ると長いのに、思いっきり弾けるとやけに短く感じる。今はむしろ終わってほしくないとさえ思える。
三年生の徒競走は早い奴が一緒のコースに2人も居る。びりにならない自信はあるが八人中五・六位になりそうな気がする。予行練習のときはそう思いそういう結果になった。
だが今は違う。下手したら一位になりそうな気さえする。足には自信が無い訳じゃない。
そうして、とうとう出発の定位置に着いた。ピストルにかける指を凝視した。
パン!!と言う乾いた音とともに皆駆け出した。
セパレートコースで自分は一番右。そう、一番後ろだ。
さっきのピストルの指を見すぎてスタートが遅れてしまった。不覚だ。
走り出すと何故か周りがスローモーションに見える。
何故かやけに落ち着いていられる。今は一番後ろだ。自分の団の団長が俺に向かって頑張れというのが聞こえる。
一人目を抜かした。こいつは一番遅い。これでびりは免れた。
そして、二人目、三人目…と抜かし
何故か力が沸いてくる。サッカー部の奴が居る。こいつを抜かせば二位だ。
よし、並んだ!!サッカー部の奴と目があった。一位の奴も俺を見てる。
あとゴールまで50Mほど。
二位の奴が飛ばしてきた。俺もラストスパートを駆けた。
あと10㎝でも前に出れば。
あしを前に蹴った。蹴った。思いっきり。
そいつの少し前に出た。これで二位だ。もうゴールまで二十メートルほどか。
一位の奴とあまりさがない。
これなら一位になれる。でもその差が埋まらない。足が重い。
その差がどんどん開いてくる。三位の奴が詰めてくる。
それでも何とか二位を守ってゴール。
その場にごろんと寝転んだ。一位が良かったが、何となく爽やかな気分だ。
その後、プログラムどうりにすすみ、無事終わった。
体育祭が終わり、教室に戻り制服に着替えた。そして教室を出ようとすると、
「遅せーよ」という声がした。すると廊下に原、勇、黒、そして杉がいた。
おれが「どうした?」ときくと。
「今から川行かねぇ?」と勇が言った。「何しに?」と聞くと、
左腕を真上に上げて右手を曲げて上にあげ「決まってんじゃん。川と言えば…ウォーターボーイズの練習場所だろ?」とまた勇が言った。
今まで、あんなにシンクロしないとかいっていた奴らが思わぬことを言ってきたんで一瞬耳を疑った。
「マジで!?皆行くの?」おれがそういうと皆ニカッと笑ってうなずいた。
いきなりテンションがあがってきた。
「じゃあ行くか!!」と俺が叫ぶと、皆「オー!!」と叫んだ。
ウワー!!!!と叫びながら階段を駆け下りた。勇と杉が先頭に立った。
それを押しのけて俺が一番前にジャンプした。着地の間に勇と杉がお先に~と言いながら駆け下りた。
俺も後を追うと後ろから来た黒と原に抜かされそうになり負けじと駆け下りた。階段が終わり、下駄箱までの道で黒、原、俺は杉と勇に追いついた。急いで靴を履き
一気に自転車に飛び乗り、坂を下り川に向かった。川に着くと、一度全裸になって、体育着の下だけ履き、入水した。皆でダイヤモンドヘッドの振り付けを考え、歌いながら踊った。
「せーの、ちゃ~ちゃ~ちゃちゃーちゃーちゃちゃちゃちゃちゃ」とみんなで大声で歌った。
橋の上から帰り際の高校生が何事かと見ている。
まず、皆が輪になり回ったあとバレーレッグの姿勢になった後フラミンゴ姿勢でそのまま回る。そして、逆立ちの後に潜り、手を上に上げて飛び出しフィニッシュと言うようなものだった。
終わった後、涙が漫画みたいに出てきた。そのときは水にぬれてたから気づかれなかったけど、滅茶苦茶感動した。
着替えて、帰る途中物凄い夕立にあった。みんなで、「まじこれウォーターボーイズ見てーや(みたいだ)」といい笑いあった。
こんな風にして僕の高校生活は終わった。

~編集後記~
正直、あんなものに後記なんて付けて良いのか迷いましたが一応書くことにしました。
このWBリアルのWBはなにを隠そうウォーターボーイズです。リアルと言うのはまあ、現実にあったことを出来るだけ忠実に再現するぞーって言う意思みたいなかんじかな。
行動力も無い、弱気な高校生がシンクロしようとしたらどうなるのかな…みたいな。周りのヤル気はほとんど無くて、自分は出来たら言いなって思うけど他力本願で…そんなかんじでだらだらして結局何も出来ない。
本当はそんな高校生のほうが多いのではないでしょうか?少なくとも自分はそんな高校生でした。そして、いまあの頃に戻っても何も出来ずじまいで終わりそうな気がします。
いいことではないんですけど。
WBリアルで自分が言いたかったこと…そんな物無いのかもしれません。でも、ヤル気が無いけど滅茶苦茶気の良い仲間達が居て、すんげー楽しかった高校時代!!そんな雰囲気は出したかったのです
そして、あの頃は、周りとか全く気にしてなかったな~とも思います。まあ、勉強のし過ぎでハイになってたのかもしれませんけど…(笑)
最終話の時のみんなで教室で「ウォーターボーイズ」って叫ぶとこありましたけど、あれは、見たら普通に引きますよ。高校生だから許される。そんなとこでしょうか。
そして、皆で川でシンクロをするとこもありましたが、あれも危ういですよ。相当叫びまくるし…よく警察が来なかったなって思います。
でも、やらなきゃよかったとは微塵も思いません。むしろあれをしなかったら今は相当後悔していたと思います。
彼女も全く作らずにそんな事ばかりしていたけど、本当にあんな爽やかでそして熱いことをしてきてよかったと思います。
いままで読んでくれた方、チラッとでも見てくれた方に心より感謝します。



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